格闘技は基本的に階級分けされており、選手層の厚さや人気選手などによって注目される階級は変わっていきます。しかし、ファンの間では、例えば 「もしウェルター級の○○がヘビー級だったら」など 階級を超えての強さ議論が常に勃発しています。この様に選手同士の体重差がないと想定したときに一番強いと考えられる選手を指す称号の事をパウンドフォーパウンドと言います。
本記事では、世界最大の総合格闘技団体UFCの最新のパウンドフォーパウンドをランキング形式で紹介します(2022.11.21更新)。
✅パウンドフォーパウンド
格闘技界で使われる用語。全階級の選手の体重差がないと想定した時の最強の選手を指す称号。各階級で突出している王者がピックアップされる傾向にある。過去のパウンドフォーパウンドと呼ばれた選手を見ていくと、総合格闘技だとエメリヤーエンコ・ヒョードルやジョン・ジョーンズ、ボクシングだとマイク・タイソンやフロイド・メイウェザーなど 王者の中でも、強いのはもちろん 連勝を重ねて長らく負けていない選手が目立つ。
男子部門
1 アレクサンダー・ヴォルカノフスキー
1988.9.29 オーストラリア ニューサウスウェールズ州 シェルハーバー出身
UFCフェザー級王者
MMA戦績25勝1敗
身長167.6cm
リーチ181.6cm
ラグビーから総合格闘技に転向した選手で、フェザー級の中では小柄ながら、強力なグラウンドコントロールで、相手に対して優勢に試合を運ぶ姿が印象的です。ホロウェイを三度撃破し、ライト級への参戦が噂されています。ウスマンが王座陥落した事により、以前から野心的に語っていた念願のPFP1位に。マカチェフとのライト級マッチが期待されています。ラグビー時代は体重が90kg以上あった様です。どの様に体重を落としていったのか気になります(筋量もある程度犠牲になっているでしょうが)。。
2 イスラム・マカチェフ
1991.9.27 ダゲスタン共和国 マハチカラ出身
UFCライト級王者
MMA戦績23勝1敗
身長177.8cm
リーチ179.1cm
ロシアのダゲスタン出身の選手。屈強な肉体から繰り出すテイクダウンからの強力なトップコントロールで、相手を消耗させてフィニッシュに持ち込むスタイルが得意で、トップ時に物凄い圧力を感じます。確実な強さを持ちながらも、他の派手なライト級選手にスポットが集まりがちな状況が続いていましたが、ヌルマゴメドフの発信・サポートもあり、UFC 280にてあのオリベイラから完璧なタップアウトを奪いライト級王座を戴冠しました。ヴォルカノフスキー戦の期待も。大一番であの落ち着き様。。
3 レオン・エドワーズ
1991.8.25 ジャマイカ キングストン出身
UFCウェルター級王者
MMA戦績20勝3敗
身長188cm
リーチ188cm
ウェルター級の中では長身で、主に打撃で試合を組み立てる選手。体格も活かしながら有効打を当て続けます。メディアからの映像ではあまり想像しづらいですが、格闘技を始める前は喧嘩が多く、荒れていた様です。実力は間違いないものの、その割にスポットライトがあまり当たっていませんでしたが、連勝を重ねてウスマンとのタイトル戦に辿り着き、劣勢の中、完璧なタイミングで左ハイキックがヒットし、衝撃的なKO勝利で王座を戴冠しました。生まれはジャマイカですが、9歳でイギリスに移住しています。次戦はダイレクトリマッチか?それともかの有名なマスヴィダルとの遺恨マッチか?。。
4 カマル・ウスマン
1987.5.11 ナイジェリア エド州 アウチ出身
元UFCウェルター級王者
UFCウェルター級ランキング1位
MMA戦績20勝2敗
身長182.9cm
リーチ193cm
TUFシリーズに参加していた選手で、圧倒的なレスリング能力をベースに常に主導権を握り、相手の良さを潰していく戦い方が印象的です。最近ではKOシーンも目立ち(特にマスヴィダル戦でのフィニッシュシーン)、手が付けられなくなってきていた状態ですが、エドワーズに衝撃的なKO敗けを喫して王座から陥落しました。しばしば派手なカラーファッションで身を包んでいます。プライベートではとても真似できません。。
5 フランシス・ガヌー
1986.9.5 カメルーン 西部州 バティエ出身
UFCヘビー級王者
MMA戦績17勝3敗
身長193cm
リーチ210.8cm
驚異的なパワーパンチによるフィニッシュシーンが強烈に印象に残ります。一発当たればKO確実とも言えるレベルで、パンチだけでなく、最近ではレスリングを披露する場面もあり、今なお進化途中の選手。度々ボクシングへの挑戦が言及されており、今後どの様な展開になっていくのか気になるところです。個人的にアリスター戦はショッキングでした。。
6 イスラエル・アデサニャ
1989.7.22 ナイジェリア ラゴス州 ラゴス出身
元UFCミドル級王者
UFCミドル級ランキング1位
MMA戦績23勝2敗
身長193cm
リーチ203.2cm
キックボクシングから転向した選手で、ミドル級の中ではかなりの高身長で、圧倒的な立ち技を主体に戦います。敗けはしましたが、ライトヘビー級とのブラホヴィッチと王者対決にも挑戦しました。キックボクシング時代に敗北を喫しているペレイラとの王座戦でスタンドでのTKO敗けを喫しました。。大のアニメ好きとしても知られています。個人的な好きなNARUTOやDEATH NOTEに関する発言をしたりと、勝手に親近感を抱いています。。
7 チャールズ・オリヴェイラ
1989.10.17 ブラジル サンパウロ州 グアルジャ出身
元UFCライト級王者
UFC級ライト級ランキング1位
MMA戦績33勝9敗
身長177.8cm
リーチ188cm
フェザー級から転向後に開花した選手。グラウンドでのフィニッシュシーンが印象的ですが、立ち技での攻防がスリリングで、見応えのある試合が多いです。ゲイジー戦を経て、柔術にスポットライトが再び当たってきています。直近の戦績・倒してきた相手を考えると非常に勢いがありましたが、UFC 280でマカチェフに敗戦し、王座再獲得は叶いませんでした。普段は眼鏡を着用しており、試合時の視界がかなりぼやけている様でしたが、視力の矯正に成功したそうです。
8 アレックス・ペレイラ
1987.7.7 ブラジル サンパウロ州 サンベルナルド・ド・カンポ出身
UFCミドル級王者
MMA戦績7勝1敗
身長194cm
リーチ200.7cm
アデサニヤと同じキックボクシングからMMAに転向した選手。ミドル級離れした体格とパワー溢れる打撃でKOを量産しています。UFC 281の王座戦でアデサニヤ相手に劣勢ながら最終ラウンドで見事にTKO勝利を収めました。MMA転向後の試合数はまだ多くなく、底知れぬポテンシャルを秘めています。ライトヘビー級の選手と見比べても体格が大きく、試合当日は計量から10kg以上リカバリーするそうです。。。
9 アルジャメイン・スターリング
1989.7.31 アメリカ ニューヨーク州 ユニオンデール出身
UFC級バンタム級王者
MMA戦績22勝3敗
身長170.2cm
リーチ180.3cm
強力なレスリング、多彩なグラウンド技術が印象的な選手。UFC259にてヤンからの反則の膝蹴りによる不本意な王座獲得となったが、UFC273の再戦に勝利し、王座初防衛に成功しています。朝倉海のYou Tubeへの登場で日本での認知度が少し上昇した模様。バンタム級の選手ですが、通常体重が重く、フェザー級への参戦も噂されていますが、TJ・ディラショー戦に勝利しました。TJは試合前から肩が重症だった様ですが。。
10 イリー・プロハースカ
1992.10.14 チェコ ズイノモ出身
UFCライトヘビー級級王者
MMA戦績29勝3敗1分
身長190.5cm
リーチ203.2cm
日本ではお馴染みの選手。寡黙ながら試合では研ぎ澄まされた肉体から切れ味鋭い打撃を武器に多くの勝利を挙げています。ただ、直近のタイトルマッチでもわかる様に、ギロチンチョークなど極め技も得意です。肩の怪我により王座返上となりました。非常に独特な雰囲気の持ち主です。性格は全く違いますが、23歳にてLH王者のジョン・ジョーンズとは。。
女子部門
1 アマンダ・ヌネス
1988.5.30 ブラジル バイーア州サルヴァドール出身
UFCフェザー・バンタム級王者
MMA戦績22勝5敗
身長172.7cm
リーチ175.3cm
立ち技・寝技ともにトップレベルで、UFC女子選手の歴史の中でもトップレベルの選手。男子選手顔負けのパワーを誇り、あのクリス・サイボーグですら歯が立たなかったほどの強さを見せていた。ペーニャとの再戦に勝利し、再び2階級王者に。それにしてもあの打撃の重さ。。
2 ヴァレンティーナ・シェフチェンコ
1988.3.7 キルギス ビシュケク出身
UFCフライ級王者
MMA戦績23勝3敗
身長165.1cm
リーチ168.9cm
個人的にお気に入りの選手の1人。強烈な立ち技をベースに、グラウンド技術も高い隙のない選手。スピニングバックキックとスーパーマンパンチが印象的。フライ級創設前は、バンタム級で活躍していた。姉のアントニーナとコーチのフェドートフとは、長年行動を共にしている関係。ダンス・射撃や多国語を操る言語力など 格闘技以外でも非常に多彩です。バンタム級王座への再挑戦も期待されています。ヌネス3?。。
3 ジャン・ウェイリー
1989.8.13 中国 河北省 邯鄲市出身
UFCストロー級王者
MMA戦績23勝3敗
身長162.6cm
リーチ160cm
強力な立ち技を武器とし、打合いに強い選手。中国人史上初めてUFC王座を獲得した選手。イェンジェイチック戦の激闘が非常に印象的です。2戦目は、バックパンチでの決着。UFC281で王座再戴冠。普段の和やかな雰囲気とは対照的に激闘を繰り広げ、普段約130kgのガヌーも持ち上げる。。
4 ジュリアナ・ペーニャ
1989.8.19 アメリカ ワシントン州 スポケーン出身
元UFCバンタム級王者
UFCバンタム級ランキング1位
MMA戦績12勝5敗
身長167.6cm
リーチ175.3cm
TUFシリーズに参加していた選手で、優れたグラウンド技術が印象的。UFC269でのヌネス戦では、下馬評を覆し、バンタム級王座獲得に成功しています。立ち技でも臆する事なく見事な忍耐力を見せましたが、ヌネスとの再戦に敗れました。
5 ローズ・ナマユナス
1992.6.29 アメリカ ウィスコンシン州 ミルウォーキー出身
元UFCストロー級王者
UFCストロー級ランキング2位
MMA戦績12勝5敗
身長165.1cm
リーチ165.1cm
TUFシリーズに参加していた選手で、立ち技・グラウンドともに優れ、フィニッシュ勝利も多いです。丸刈りの坊主スタイルが印象的。先日のタイトル戦で大きく評判を落としてしまった印象。。
6 カーラ・エスパルザ
1987.10.10 アメリカ カリフォルニア州 トーランス出身
元UFCストロー級王者
UFCストロー級ランキング1位
MMA戦績20勝7敗
身長154.9cm
リーチ160cm
TUFシリーズに参加していた選手で、2015年のUFCストロー級初のタイトルマッチを戦った選手。この時は敗れたが、その後勝ち星を重ねていき、2022年UFC274にて念願のストロー級王座獲得に成功した。UFC281でウェイリーとに敗戦して王座陥落しました。
7 ジェシカ・アンドラージ
1991.9.25 ブラジル パラナ州 ウムアラマ出身
元UFCストロー級王者
UFCストロー級ランキング4位/フライ級ランキング6位
MMA戦績22勝9敗
身長154.9cm
リーチ157.5cm
身長は高くないが、圧倒的なパワーを武器に、強力な打撃で相手をフィニッシュするシーンが印象的な選手。2017年の日本大会でのガデーリャ戦は、私も観戦しましたが、素晴らしいパフォーマンスでした。ただ、シェフチェンコ戦では為す術なし。。
8 マリーナ・ロドリゲス
1987.4.29 ブラジル リオグランデドスル州 バジェ出身
UFCストロー級ランキング5位
MMA戦績16勝2敗2分
身長167.6cm
リーチ165.1cm
立ち技に優れ、打合いに非常に強い選手。柔術にも優れ、トップレベルの柔術家としても知られるダーンを相手に判定勝利している。レモスに敗れましたが、タイトル挑戦が期待される選手。
9 アマンダ・レモス
1987.5.22 ブラジル パラー州 ベレン出身
UFCストロー級ランキング3位
MMA戦績16勝2敗2分
身長162.6cm
リーチ165.1cm
ジャングルファイトに参戦していた選手で、2017年からUFCに参戦中。KO、サブミッションでの勝利が多く、1ラウンドでの決着が多いエキサイティングな試合をする選手。上位ランカーのロドリゲスに勝利し、タイトル戦線に食い込んでいっています。
10 ホーリー・ホルム
1981.10.17 アメリカ ニューメキシコ州 アルバカーキ出身
元UFCバンタム級王者
UFCバンタム級ランキング3位
MMA戦績14勝6敗
身長172.7cm
リーチ175.3cm
ボクシングから転向した選手で、ボクシング仕込みの打撃に優れた選手で、当時無敵状態だったロンダ・ラウジーから見事なキックで王座奪取に成功した瞬間が非常に印象的です。公の場ではクールな感じがしますが、以外にもプライベートではお茶目。。
常に体格に恵まれており、立ち技・寝技ともに優れた選手。その体躯から繰り出すハイキックが印象的です。UFC 280では、体重オーバーに加え、フィオロに判定敗けを喫しました。
階級別のUFC歴代最強ランキング
各階級ごとでは、誰が一番強いのでしょう。私なりに考えてみました。
▶MMAの歴代のパウンドフォーパウンドはこちらをご覧ください。
▶UFCヘビー級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCライトヘビー級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCミドル級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCウェルター級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCライト級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCフェザー級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCバンタム級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
▶UFCフライ級の歴代最強ランキングはこちらをご覧ください。
参考
- UFC, https://www.ufc.com/
コメント